男も女もまぢはりて、いろいろ物語の有りつるに、一人云ふ『和泉の国には、なにともをかしき名字がある、のじりやれ、くさべのやれ』と
又ひとりが『大和にも、へぐりだにのやれ、馬の尻のやれというて、腰より下のこと葉ばかりなり』とはなしければ、四十ばかりなる女房のさしいで『それより、聞きにくいがある』と『何ぞ』と問はれ『生地殿とこの』。(醍睡笑)