祝砲

或る娼妓、客の前にてプイと風の音を漏らせしに、幇間気の毒がり、

『最う一発失礼ながら祝砲』と言ひながら、プイとやつた。娼妓は大いに喜び返礼として、羽織を与へた。かくと聞いた外の幇間、己も屁の身代りに立ち度いと心がけてゐると、或る座敷で同じ様な事もあればあるもの、娼妓がプイと仕損ひ。そりやこそ、羽織にありついたと、大きな声で、

『へイ、花魁、御相伴致しやす』と、尻を持ち上げてプウツ。