小間使が主客の前に茶菓を持参してきた。そしてひょいと立たうとした機に、一発ブツとはずしてしまつた。
小間使は真赤になつた。
主人は来客の手前非常に当惑した。
が、来客といふのが苦労人で、さあらぬ態にその場をにごしてしまつた。ので、二人はそれ以上の耻をかゝずにすんでしまつた。
やがて来客が帰るのを待つて、主人は匆々に小問使を書斎に呼び寄せて大叱言をくらはせた。
『二度び、あんな粗相を仕出かさない様に、一つよく戒めてやらう、どれ御見せ』
といやがる小間使を後むかせて、その、肛門の辺を撲ちのめして呉れやうと、くるりと裾をまくつて見たところ、むつちりとして白い羽二重の様なお尻を見て、急に変な気持になつてしまつた。そしてとんでもない結果に終つてしまつた。
それから後、小間使は思ひ出して、止みがたい時は、主人の書斎に参つて
『あの又おならを縮尻ました』と云つて身体を前にのめり出した。